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時間を売る珈琲店

スタッフブログ

リピートすると言うが、あれは時間だ。

かれこれ10年ほど通っているコーヒー専門店のマスターがぼそっと言った。
ここは、殆どが常連さんで成り立っているスペシャリティコーヒーの専門店。
お客さんは多くが一人で訪れ、マスターとの会話を楽しみに来る。
そして、自然とブレンドされるお客さん同士の会話が、店の心地よい世界観をつくっている。

皆様と触れて感じるのだが、行動に自分基準がしっかりある。
現役でひとかどの仕事をしていたり、一仕事終えた人たちが、ここでゆったり自分の時間を愉しむ。
多忙な毎日に、「このお店での時間」という習慣が確実に組み込まれている。

彼らは本当のところ、ここに何をしに来ているのか?

冒頭は、この問いについて立ち話していた時の、マスターのことば。

確かなのは、単純にコーヒーの味を堪能しに来ているのではない。
おいしいはおいしいのだが、私も含めてそんなにコーヒーの複雑味を語っているのを聞いたことがない。
(私はそもそも、コーヒーの種類も風味もあまりわからない)

ここを訪れるひとたちは、時間を買いに来ている。
そして、一回ごとの短い時間を繋ぎ合わせて、自分に流れる独自のストーリーをつくっているのではないか?
お店には固有のストーリーがダイナミックに流れているが、自分の時間軸を持った客人たちは、この空間に身を置き、
毎回の短いパートの体験を重ね、リピートすることで繋ぎ合わせ、自らの壮大なストーリーを創作しているのではないか。

そんなことをマスターと話していると、私たちの存在は時間そのものだと感じた。

こんなこと言うと野暮ったくなるが、コーヒーをインターフェースにした「時間販売店」だ。

時間をどう活かしてどう生きるか。

私たちも提供しているのは住まいであり、暮らしであるが、もっと言えば時間であろう。

 

 

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